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歯周病と糖尿病の深い関係

更新日:2026年6月1日

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糖尿病のある方では、歯周病になりやすく、進行しやすいことが知られています。一方で、歯周治療により血糖マネジメントの改善につながるとも言われています。毎日の口腔ケアを大切にし口の中の健康も大切にしましょう。

目次

口の中をチェックしましょう

お口の健康は、毎日の食事や会話にもつながるとても身近なものです。そんなお口のトラブルで以下の事柄を自覚することはありますか?

✓ 歯磨きの時に出血する
✓ 朝起きたときに歯肉に違和感がある
✓ 口臭を指摘された
✓ 歯肉が下がって、歯が長く見えるようになった
✓ 体調が悪くなると歯肉が腫れる
✓ 歯の揺れを感じることがある

歯周病と糖尿病の双方向の関係性
糖尿病と歯周病の相互関係を示す図。糖尿病によって歯を支える骨の吸収が促進され歯周病が悪化し、歯肉の炎症によって血糖マネジメントが悪化して糖尿病に影響するという、双方向の悪循環を矢印で示している。

「歯周病」には、炎症が歯肉に限局した「歯肉炎」と、歯を支えている歯槽骨が破壊されて歯を失ってしまう「歯周炎」があります。
上の症状が複数当てはまると、「歯周炎」の可能性が高く、歯科医院での治療が必要となります。
歯周病は糖尿病とお互いに悪い影響をおよぼす関連があり、糖尿病が歯周病を悪化させるだけでなく、歯周病も血糖マネジメントを難しくすることがわかっています。そして最近では、歯周病の治療をきちんと行うことで血糖値が下がるということもわかっています。
(血糖マネジメントについては、なぜ血糖値をコントロールする必要があるの?もご覧ください。)

歯周病はプラークが原因

では、歯周病とはどんな病気でしょう。
歯周病は、成人が歯を失う最も多い原因です。日本の40歳以上では半数以上に認められ、患者の割合は年齢とともに増加します。
歯周病の原因は歯の表面に付着している「プラーク」、いわゆる磨き残しの歯垢です。プラークは歯の表面に細菌が被膜を形成しバリアとなっており、「バイオフィルム」とも呼ばれます。このバイオフィルムは薬物の浸透を防ぐため、水や洗口剤などで口をすすぐだけでは除去できません。しかし、歯磨き(ブラッシング)で簡単に取り除けるため、後述のようにブラッシングが最も大切になります

歯周病で骨が溶けてしまう

歯周病の進行を3段階で示した図。左から順に、健康な歯(清潔に保たれて出血のない健康な状態)、歯肉炎(歯の根元にプラークが蓄積し、歯肉の炎症を起こして出血する状態)、歯周炎(歯周ポケットができ歯肉の炎症が進み、歯を支える骨が溶ける状態)。右に行くほど歯周病が進行している。

プラークは、主に細菌で構成されていて、その中には歯周病原菌も含まれます。歯周病原菌は歯と歯肉の隙間、「歯周ポケット」で増殖することで、歯肉に炎症を起こし、さらに歯を支えている骨を溶かしてしまいます。歯周ポケットが深くなるほど歯を支える骨が失われ、最後は支えきれずに抜歯へと至ってしまいます。

歯周病治療ってどんな治療?

歯周病の治療は、歯周病が口の中全体の歯で同時に進行していくため、全ての歯でポケット検査やプラークの付き具合の検査を行います。まずブラッシング指導により患者さん自身でプラークを取り除けるような練習を行います。プラークを除去して細菌の歯肉への影響を無くしていくことを「プラークコントロール」と呼び、歯周病治療の中心になります。
患者さん自身によるプラークコントロールが基本となりますが、その上で歯科医院で定期的に受診を行い、歯周ポケットの中に付着しているプラークや歯石を超音波振動機器や手用器具を用いて取り除きます。これは「スケーリング」といい、歯科医療従事者が行う重要なプラークコントロールです。 一旦治療が終了しても、歯周病は再発することが多いため、「メインテナンス」もしくは「サポーティブセラピー」と呼ばれる定期的なチェックとケアを行っていくことが必要です。

歯周病があると、どうして血糖値が高くなるの?

なぜ、歯肉の炎症である歯周病が糖尿病に関わってくるのでしょうか。出血や膿を出しているような歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出されています。 中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は掌(てのひら)と同じ程度と考えられています。歯周ポケットの中身は外からはなかなか見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、からだ全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。 ポケットから出て血流にのった炎症関連の化学物質は、体のなかで血糖値を下げるインスリンを効きにくくします(インスリン抵抗性)。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。

歯周病治療で血糖値が下がる!

歯周病治療で、血糖値が改善
糖尿病と歯周病の相互関係を示す図。糖尿病によって歯を支える骨の吸収が促進され歯周病が悪化し、歯肉の炎症によって血糖マネジメントが悪化して糖尿病に影響するという、双方向の悪循環を矢印で示している。

最近では歯周病と糖尿病の密接な関連の証として、歯周病の治療をすると血糖マネジメントが改善するという研究成果も数多く報告されています。
ここでの「歯周病の治療」とは、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除く(スケーリング)ことです。そうすることで歯肉の炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖マネジメントも改善するということが、日本での研究を含めた多くの臨床研究で報告されています。ただし、全ての患者さんで必ず血糖値が下がるわけではありません。そのため、どのような糖尿病患者さんで血糖値が下がりやすいのか、今後の研究成果が待たれています。

かかりつけ歯科医院を作りましょう

歯を大切に保つことは、生活の質を直接低下させないだけでなく、生活習慣病や認知症などの予防や管理にも深く影響してきていることが明らかになってきています。歯周病コントロールのためには、毎日のセルフケアに加えて、歯科医院での予防的なケアや専門的なアドバイスを受けるのが有効です。特に、自己判断によるケアだけでは十分でない場合もあるため、専門家と相談しながら進めることが大切です。

歯ぐきの炎症は、症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために定期的な確認やケア(メンテナンス・専門的クリーニング)を続けることが勧められています。受診の間隔はお口や体調の状態によって異なり、一般的に、糖尿病のない方は3~6か月に1回程度を目安としますが、糖尿病のある方では体調の影響を受けやすいことから、歯科医師と相談しながら、3か月以内などややこまめな受診をすすめられることもあります。また、血糖値の状態により内科の主治医から全身状態に関する情報が共有されている場合には、安心してお口の健康を保つために、月1回程度の受診が提案されることもあります。

かかりつけの歯科医院をつくり、定期的なチェックとクリーニングを行うことが、歯周病と糖尿病の管理という観点からだけでなく、将来の快適な生活にもつながるでしょう。

治療が必要になったら・・・

口の中のトラブルがあれば、すぐに歯科医院を受診しましょう。治療が必要な病変は早期に発見して早めに治療することが、重症化させないために重要なポイントです。一方で、受診した結果治療が必要な場面もあります。その際、血糖値の状態によっては治療の効果が十分に得られにくい場合があり、治療のタイミングを慎重に検討することがあります。歯科医だけではが判断が難しい場合、糖尿病の主治医と相談しながら治療方針を決めることもあります。
歯科を受診する際には、糖尿病があることや、現在行なっている治療(お薬の使用など)について、あらかじめ歯科医に伝えてください。
また、歯科治療後、痛みなどで食事が十分に摂れないこともあります。薬物療法を行っている方は、食事の状況に応じて、内服や注射製剤の調整が必要になることもあります。そのため、投薬の調整について相談できるよう、歯科治療を予定している場合には、あらかじめ糖尿病の主治医に伝えておくことが大切です。

ポイント
糖尿病と歯周病の関係:知っておきたい5つのこと
  • 糖尿病と歯周病は互いに悪化させ合う関係があります。
  • 歯磨き時の出血・口臭・歯肉の腫れは歯周炎のサインです。
  • 毎日のブラッシングでプラーク除去を習慣にしましょう。
  • 歯周治療(歯石除去)が血糖値の改善につながる場合があります。
  • 糖尿病のある方は3か月以内を目安に定期検診を受けましょう。

参考文献

  • Lalla E et al Diabetes mellitus and periodontitis: a tale of two common interrelated diseases. Nat Rev Endocrinol 7: 738-748, 2011
  • Simpson TC et al Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes. Cochrane Database Syst Rev: CD004714, 2010
  • 日本糖尿病学会 編:糖尿病診療ガイドライン2024.南江堂, 2024

初回掲載日:2017年10月5日

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